第41話
そうか。
……そうだったんだね。やっとわかった。
そこまで来れば、あとの言葉は次々、勝手に浮かんでくる。
「野川さんは、どういうことを考えながら、歌詞を書くんですか?」
そうだなあ、と野川さんは、手を頭の後ろで組んで、天井を仰いだ。
「……自分が何かに突き動かされた気持ちを、どういう言葉なら他の人にもわかってもらえるかな、って思いながら書いてるよ」
「あたしも、同じです」
「えっ?」
「あたしもそう思いながら、あのメール、打ってたんです」
「……」
「――だから」
うつむいていた顔を上げた。
目の前には、スタジオのドラム、ギター、ベース、マイクスタンド、
そして、真新しい、キーボード。
「野川さんが心を込めて今まで書いてきた、その思い全部、あたしは知りたいです」
そうして、野川さんたちが音に込めた、本当の思いを、あたしはちゃんと、わかりたい。
「――そうしたらあたしも、その思いを、キーボードに託せる気がします」
あたしが出した、その答えに。
野川さんは今までで一番まぶしい、お日さまの笑顔を、あたしにくれた。
* * *
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