第24話
野川さんは目を瞬いた。そして、
「……俺らだけの秘密、か」
――ふわっと笑った。
ほんとうに、この人の笑顔は人を幸せにすると思う。
「なんかいいな、そういうの」
じゃあ行くか、と野川さんは伸びをして立ち上がった。
「そろそろだ。スタジオに行こうか」
あたしは頷いて、残っていたお茶を飲みほした。
* * *
「……どう?」
「すごいです…! かっこいい……」
激しいギターに、存在感のあるドラム、それにベースの、独特のリズム。やっぱりこのバンドは他とは違う、と惚れ惚れしながら思う。
野川さんたちは声をあげながら笑った。
「で、野川。この子、誰なんだよ」と、ベースの星野さん。
「彼女じゃないの?」と、ドラムの竹本さん。
なんか最近、兄貴の彼女になったり野川さんの彼女になったり、忙しいなあ、あたし。
野川さんは呆れたように、
「違うって。この前言っただろ、荒井の妹さん」
「あ、そうなの? なーんだ」
「そう言われてみれば、似てるかも」
この辺とか、と星野さんは自分の目元を指さした。
どうもこの人たちは兄貴のことを知っているらしい。訊けば、全員同じ高校だったという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます