第17話
いっときの興奮とか、衝動とか。
ひと眠りしたら消えてしまいそうな、そういう脆い感情を、あたしは失くしたくないんだと思う。
それは、言葉にすればきっと、ずっと残すことができるはずで。もちろん、本当の意味では感情は形にも、言葉にもならないと、わかってはいるけれど。
それでも残したい、忘れたくない。
だからあたしは、細心の注意を払いながら、自分の気持ちを文字におこしていく。
目を閉じた。
――あの音楽が、カラフルなひかりが、弾けた。
あたしが自分の心を表現するのにぴったりの言葉をみつけても、野川さんにそれが伝わるかどうかわからない。
その気がなくても、悪く受け取られてしまうかも――傷つけてしまうかもしれないんだから。
やわらかく。
そうして、心に迫るものを。
メール画面と格闘しながら一時間。
ようやく出来上がったメールを送信して、あたしは心地よい疲労感に目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます