†千切れた蜘蛛の糸†

第45話

独り少女は、蜘蛛が吐く糸を摂り・・・

編み物をして、喜んでいた・・・

私は何が楽しいのだろう?とだけだった・・・


あの月が紅く染まった夜中に少女はニヤリとした・・・


『生きる為に、言うことを聞きなさい。』

『聞かない者は、生きれない。』

『アタシには敵わない。』


『さぁ。あの蜘蛛の糸の中に入りなさい。』と・・・


目にしたのは、命の為だけに・・・

人を害してしまった口から血を流す人・・・

目にしたのは、命の為だけに・・・


人を笑い、逃げ場を無くし、目から血を流した人・・・


少女が仕掛けたのは、欲だけの罠・・・


『アタシに適う訳がないの。』と・・・

そんな少女にも幕引きが来る・・・

空からガラスのように鋭い雨が降り注ぎ・・・


蜘蛛の糸が千切れて、少女は下敷きに・・・


『重い。』『苦しい。』

そう、最期に自分の罪の重さを知った少女・・・

かかった人々の重さに耐えられなくなり・・・


息が小さくなって、瞳から血が溢れ出す・・・


『何故うまくいかなかったの?』

『アタシはちゃんと考えたのに。』

どんどん小さくなる息・・・



やがて月が雲に覆われた時に、少女は息をしていなかった。ただ自分の欲だけに支配された思考回路の恐ろしいさを、私は知れた気がした・・・


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