第5話

『わぁ……』








袋の中には、品のある、深いレッドのリップとネイルが入っていた。








『すごーい。綺麗な色。大人の色だ。』



〈仕事用に使えるか?〉



『うん!ありがとう!毎日つけて行くね!』








すると男は、おかしそうに笑った。








〈お前って、ほんっと面白い奴だよな。〉



『はぁ?別に、面白いことなんか言ってないけど?』









男の太ももを、ポンと叩いた。









〈でもやっぱ、こっちはちょっと派手か。〉








男は、ネイルを手にした。








『大丈夫。足に塗るから。』



〈じゃあ、後で俺が塗ってやる。〉



『え、いいよ。自分でやるから。』



〈いいじゃねーか、たまには。〉








肩を抱かれたと思ったら、すぐに唇が重なった。








〈嫌か?〉



『そんなわけないよ。』









わたしの方からも、男の唇に吸い付いた。









『じゃあ、お願いしちゃおうかな。』



〈うん。それでいい。〉








男はわたしの頭を撫でると、優しく微笑んでくれた。

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