第6話

この男はいつも、身に付けられる物をプレゼントに選んでくれる。








それが重いと感じる人もいるようだけれど、わたしにとって、それはとてつもなく嬉しいことで。








離れていても、愛する人をそばに感じることができるからだ。













わたし達は、未来ちゃんが生まれてからもプレゼントを贈り合う習慣を続けている。








お互いの誕生日も、結婚記念日も、欠かしたことはない。








これは、わたしだけではなく、男の希望でもある。









よく、気持ちだけでいい、なんて言葉を聞くけれど、歳をとるにつれてプレゼントを貰えることが減る中での愛する人からの贈り物は、本当に嬉しいものなのだと男は言う。








それに、相手が自分のことを考えながら悩み、選んでくれていることが、実はいちばん嬉しかったりするのだとも言ってくれた。








だからわたし達は、これからもプレゼントを贈り合う。








一応、このことが義務に感じてきたらやめる約束をしているけれど、そんな日はきっと、やって来ないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る