1.

第3話

高校一年の秋頃から始めたファミレスのバイトは、始めてもう約一年。



自分にとっては、ここは初めてのアルバイトだけれど、さすがに1年もやっていれば、仕事にも同じように働く仲間にもすっかり慣れきっていて、新人の子に仕事を教えるくらいの事はできていた。




治安の悪い繁華街を避けるため、自宅から遠いのに敢えて選んだ二駅も離れた場所にあるファミレスは人の多い街でもないために客数は多くもなく、かと言って極端に少ない方ではないからめちゃくちゃ暇、という訳でもない。




けれど、他店舗と比べてみると、わたしの働く店舗というのは、忙しいわけではないらしく。




粋糸スイちゃん、明日、ヘルプ行ってもらえないかな?」




そろそろ上がる時間が近づいていたわたしが、申し訳なさそうな声を出しながら、人の良い店長にそう言われたのは昨日のことだった。

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