第40話
「特にモテるのはこの俺……って言いたいけど、さすがに辰己には負けるね。あんな表情を変えない無口でクールな奴のどこがいいのか、分かんないけど」
そう言い捨てた意地を張っているように見える零二にあたしは、フォローするつもりで口を開いた。
「でも、口を開いて笑ってくれたら嬉しいって、思うんじゃないんですか?ギャップっていうやつです」
……訳でもないが、たまたまフォローする言葉に聞こえる事を言っていた。
あたしの言葉を聞いて零二は、プスッと頬を膨らめる。
「何?恭ちゃんも辰己が気になるの?」
「えっ!?いや、そういうつもりで言ったんじゃ……」
怒っている顔を近づけて言ってきた零二に、あたしは慌てて手を振って返す。が、零二は怒っている。
機嫌を損ねられてもな……。
思った事を言ったまでで、どう返せばいいか分からないでいると、零二から携帯の着信音が聞こえた。着信音に気づいた零二は、ズボンにしまってあった携帯を取り出し、電話に出る。それにあたしはホッと安心していると、零二が携帯を耳から離し、あたしに声をかける。
「ごめん、恭ちゃん。少しそっちで待っててくれる?」
そう言って指を指したのは、通路側のトイレの近く。周りには隔てる物はない。
場所を見てから零二の顔を見て頷くと、あたしは歩いて零二の電話が終わるのを待つ。
わざわざ移動させるっていう事は、あたしには聞かれたくない話っていう事だよね。
自分なりに解釈していると、女子の行列が出来ているのを見つける。それになんだろ?と不思議に思い、少しだけ離れた時……――――。
「んっ……!?」
いきなり後ろから腕が伸びてきて、口を押さえられた。それに声を出そうと思ったが、強く抑えられているため、声がなかなか上手く出ない。
零二!!気づけっっ!!!
零二に目を向けて伝えるが、以心伝心出来る訳がなく、声を上げる事も許されないまま、あたしは連れ去られた。
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