思い出すは僅かな矛盾
第17話
書物から目を話し喜見広は自分の刀を見た。
『物騒なものは早く仕舞ったほうがいいぞ』
その物騒なもので容易く人を斬ったのは誰と?
言葉使いもおかしかった。
何かを隠そうとしているような。
着ていた小袖…あれは女物を仕立て直したものだ。
今になって、男のおかしなところが次々に浮かんでくる。
髪を結んでいた布。あれはハンカチとかいうものではないだろうか?
浪人に多い大刀一本差しだった。あれでは刀が折れたとき、その場しのぎするものがない。
あれから喜見広は然り気無く男を探していた。
だが、喜見広が属している長州側にそんな男はいなかった。
土佐か、薩摩か?他藩か?
上京してきた者か?
それから先は行き詰まりだった。
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