追いかけるもの1(喜見広)

第11話

剣術の稽古後、喜見広は独り道場にて竹刀を振るっていた。


違う…


何度も同じ動作を繰り返す。

「………」


やはりこれか?


肩を落とし小さくため息を吐いて、刀に持ち変えた。


すらりと刀を抜くと、同じように振るった。

ビュッと風を切る音が走った。


違う…

けれど、近い?


あれから一月。

喜見広は男の剣を忘れられなかった。


あまりにも鮮やかな袈裟斬りと返し刀の動作を。

稽古もずっとそれを意識して立ち回っていた。


書物を覚えるようにいかないのは解っていた。

何分差がありすぎる。

男の剣気はこの屋敷に住む人間の誰も持ち合わせていない。

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