第12話

手紙を読んで驚いた。


先輩が殺人の容疑者になったと言うのだ。

しかも被害者は先輩の恋人だった。


先輩が人を

恋人を殺すなんて……

あるはずがない


先輩もその恋人も僕の年上の友人だ。

先輩は僕と同じ新体操部。恋人の悠太(ゆうた)さんはいつも補欠だったけれど真面目なバスケ部員。


告白は悠太さんから。

いや、あれは噂から始まったんだけど、どうやら一度だけ練習試合に途中から出て、シュートを決めたらしい。

着地の時に足を挫いて出番は呆気なく終了したが、シュートが決まった瞬間に「僕は決めていた!だから言う!鮎幡多(あゆはた)つかささん、好きです!」と叫んだらしい。


当然の如く、噂は次の日にはあっという間に広がった。


先輩は「物好きもいるもんだなぁ」と噂も気にせずあしらっていたが、それからの悠太さんの熱烈なアプローチに次第にひかれたのか、いつの間にか付き合っていた。


先輩のほうが少し背が高かったけど、あの二人が並んで歩く姿は誰よりも格好良く見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る