第56話

俺の遺産にすることに決めて。


女は、ありふれた普通の幸せがほしかっただけなんだ。

俺はその手伝いをした。



「彼女、きっと幸せだったわ。良いことをしたのね」

今、最愛の人がふわりと笑った。




ニュースで、女の本名を見た。

けれど、忘れてしまった。



金魚だから。



でも、人間だから、すぐには忘れなかった。


「抱いてよ」

見上げた時の、女の、哀しくも真っ直ぐな瞳が、アヤと同じだったのを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

ふくせん【完結】 謳李櫻 @yuku3cfh

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ