警告
(俺頭悪いから上手いこと伝えられないと思うんだけど。)
(ううん!そんなことない。)
マユルくんは頭が悪くなんてない、それに思慮深く冷静で家族思いだ。そんな人の頭が悪いなんてことあるか。そう思ったら、僕も彼も声には出していないのに照れ笑いが伝わってきた。顔を合わせていなくても僕の意思は駄々洩れだった。懐かしく感じてしまって、なんともいえない温かい気持ちになる。
それでいて寂しい。二度と会えないという覚悟で彼と千明さんと別れて
(いや、―――多分ほんとに上手く云えなくて悪いんだけどさ、ナッツなら解ってくれると思ってるよ。)
(…と言いながら、ちゃんと考えてるよね?)
(フフッ。まあ、考えてるだけならそうだな。またこれからゆっくり話そうぜ。)
(うん!—――今は何か、重大な話をするの?)
(――――――ああ。今日は一つだけ、急ぎの話なんだ。)
(じゃあ、その話が終わったら僕の方から聞いてもいい?いくつか確認してほしいことがあるんだ。)
(承知した。)
(その前にこれって、どのくらいの時間話せるの?)
時々ブツンと途切れては一瞬だけ静寂が訪れる。ノイズが入って回線が歪むのを感じることもあった。まだ安定していないのかもしれない。マユルくんの答えもそんな感じだった。
(途切れる直前までわかんないかな。集中力が必要なんだ。)
( 相当のな。 )
***** ***** ***** ***
今でこそ修行を経たマユルくんはセーブできている部分があるけれど、それでも気を抜けば近くにいる他者の思念を拾ってしまうことがある。それが強い思念なら猶更だ。通信なんてしようなんて思えば要らぬ雑念が入ってくることもあるのではないか。
恐らくは未だこの通信にリヒトさんは介入していないのだろう。今日はテストを兼ねてということらしかった。本当は少し前にも声をかけてくれていたのだというから忝い思いだ。
鳥海社長に確認しておいてほしい事項は聞いてもらえた。僕は最初に由樹さんのことを話した。令和の
(・・・マジか。)
(・・・あんまり驚かないんだね。)
(ああ、麻痺してるんだろうな。)
ビックリはしてるよ、とマユルくんは落ち着いた声で言った。僕の驚きはハンパではなかったと記憶しているので、このリアクションは拍子抜けだった。驚かせたいわけではなかったけれど格の違いを見せつけられた気分だ。僕は凡人でマユルくんは能力者だ。
(これは俺の意見だけど、依頼のことで彼にどこまで話すかはナッツが決めていいんじゃないかな?社長に確認はしておくよ。)
(うん、ありがとう。)
マユルくんがいうように、過去へ来たのは鳥海社長からの依頼であるし雑用は幾らか発生するが、「おまえら」が悔やむ過去の修正を承ったのは僕の一存である。それから、僕がこっちへ来た手段については話すつもりが無いこともマユルくんには告げておいた。Phloxの存在は由樹さんに内緒だ。いつ通信が途切れるか知れないので、お互いに早口になる。
ただ、その話をする前に。
「一つだけ」と言っていたマユルくんからの「急ぎの話」は聞き捨てならない内容だった。事案といっていいはずだ。
***** ***** ***** ***
(大瀧真理子さんとは知り合いになったな?)
(え・・っ!)
耳の中で心臓が跳ね上がる音がした。さっきまで僕らと向かい合ってニコニコしていた、うちの“お酒が大好きな”姫の笑顔が浮かぶ。
(その笑顔を全力でお守りしてほしい。)
(ねえ、何が起こるの?)
どうして。
だって、誰も。小谷次長からもそんな話は聞かなかった。
―――――でも、そうか。当然かもしれない。
(彼女に関しては誰からも依頼が無かっただろうからな。)
(・・・・・無かったよ。)
(そういうことなんだよ。)
そういうことなのかよ。誰も教えてくれなかった。
僕の手が回らない範疇においては救いたくても、そんなの当たり前のことだが救うことはできない。行き渡らないと言うべきか。震災のことで悩んだ挙句それは理解していたのに。
これはもっと、それ以前の話だった。起きたことすら知らないことには対応できない。届けるどころか手を伸ばすことすらできないで素通りしてしまうのだ。今思えば朝倉さんの時だってそうだったんだ。彼女の件に介入できたのは運が良かったのだと今改めて身に沁みていた。
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“あのスレ”に居合わせた彼らを繋ぐ合言葉をひっそり募集します。チーム名みたいになると嬉しいですが、そうでなくても何でも結構ですので、ダサいのください。後半の
ご応募いただいた作品は全て作中で登場させていただきますが、一番ダサいことを言った方が優勝です。
ダサ1-climax
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