All The Young Dueds ①

7月28日 



 再三「おまえら」に伝えた通り、依頼人に合うのは明日で最後にする。

 聞きこぼしの無いようにな、一人でも多く会っておきたかったから。悔いのない最後の日を迎えたいんだ。僕にも「おまえら」にも悔いを残さないように。



 

【今連絡くれたら明日の午前中に会える】

【二人くらいなら】



 午後には予約が入っているのだ。あれ、僕って予約制だったんだ。ちょっと笑えてくる。



[大丈夫]

[少し休め]

[頼んだぜ、イッチ!]

【任せろよ!】

[あと10分くらい考えさせて]

【いいよ】

【決まったら教えて】

[ダサい合言葉は?]

[俺も気になってた]

[優勝まだ決まってないよね?]

[応募は間に合うか?]

【まだ受け付けてる】

[過去の何処かに書いてきて]

[それいいな!]

[じゃあ応募作品を全部]

[ワクワクする]

[過去で気付けるかな]

[おぼえがある気がするって?]

[どうやって?]

[楽しそう]

【できる限りやる】

【地方でもいいぞ】

[気付くやついるかもしんないだろ]

[角筈公園の滑り台に何か]

【かどはずって何処なんだぜ?】

[マジで何処なんだぜ?]

[聞いたことなくて草]

[何処なのか書けよイナカッペ]

[おにぎりとか腐るしねえ]

[何かってw]



 角筈つのはずが何処なのかを調べてみたら新宿に近かった。小田急方面から出て15分は歩く距離のようだ。目の前に公民館があって人通りも多く、マラソンコースに使う人も少なくないらしい。悪くない場所に思えた。



[なんでおにぎりなの]

[公園だから?]

【わかった、角筈に仕掛ける】

【他にも何処かあるか!】

【どんどん来い!】

[何か現代の物を持って行って置いてきて]

[それやるならネット普及後がいいな]

[たし蟹]

[合言葉書こう]

[滑り台に?]

[1、法に抵触しないで]

[ダサ-1まだやってる?]



********************




 ネットが普及していない頃には―――――新聞にも載らないようなことは、近隣の住民でもなければ起きたことすら知る機会なんて無かったというのだ。もし大事ニュースとして取り上げられたとしてもテレビで五分程度の放送か最速の新聞ですら翌朝だ。よほど興味を引く出来事でなければ持続性もなく、拡散される前に忘れられてしまう。




[昔は本当に人の噂なんか七十五日だったんだ]




 それが良いことなのか、そうでないのか僕にはピンと来ない。なんなら四十九日と混同していたくらいにはピンと来ない。




[おっさん乙]

[残念だがおばさんだ]

[なんの話だよw]

[想いは時を越えるのかな?]

[越えるよ]

[その為に>1が行くんじゃん]

【そうだよ】

【俺が持って行くよ】


【越えるに決まってる】



 おまえらの想いが過去あっちで力になる。それは証明させてくるよ。この時代にまで残るものがあるか判らないけれど、僕はこの目で確かめる。




[越える]

[そうだな]

[越えるさ]

[信じようぜ]

[何を今更]

[このスレのこと忘れるの嫌だな]

[俺も]

[嫌だ]

[(´;ω;`)ウッ…]

[でも過去が変わっちゃうんだろ(>_<)]

[去年の1がいるだろ]

[Cさんもいる]

[思い出したい]

[過去が変わらない奴は憶えてんじゃないか?]

[フォーエバー、イッチ]



 憶えていてほしいな、と思っている。せっかく出会った誰かとの時間を憶えているのが僕の方だけだなんて。最近楽しかったからか余計にそう感じている。


 おまえらと出会ってから、そんな風に考えてしまうような―――――嘘になってしまうには残念に思える充実した日々を過ごした。そうだと知っていたなら僕はもっと手を抜いて適当に対応していたのかな。


「あー、はいはい。やれたらやっときますね」というような。



 それはわからない。もしもなんて無いのだ、僕が言うことではないのだけれど。


 無かったことになったとしても、全力で対応したことを後悔していない。あっちへ行っても奔走するつもりでいるぜ。でも本当はね。おまえらと会うたびに正解が解らなくなってる。一度は決まっている過去のことを変えるなんて。もしかしたら他のことまで変わっちゃうかもしれないじゃんか。過去を変えたせいで別の不幸が起こるかもしれない。それも、もっと大きな。



[Cさんだって憶えてるんだろ?]

[憶えておくよ]

[Cさんだ!]

[Cさん!]

[何生まれのCさんなの?]

[病院じゃねえか?寺ではねえよ]

【おまえら!】

[どうしたんだよ]

【なんか急に叫びたくなった】




 31日は天気予報も晴マークだったから予定通り千明さんとマユルくんと茅ケ崎の姉さんのところに行くことになるだろう。



 今が楽しければいいか。



 そう思うことが幸せだなんて、今まで四半世紀も生きていたのに僕はそんなことも知らなかった。なんなら良くないことだと考えていたくらいだ。


 正解かどうかは今でも過去でも幾ら考えても多分わかんないと思う。どっちだとしてもいつだって見えるのは一面だけなのだから。












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