第38話
「な、なんで……おまえがここに?」
『和巳についてきた。お仕置きはあとにして、それよりも英依に聞きたいことがあるんだけど……』
正式には私が和巳を乗せてきたんだけど、そんなことはいいとして。
英依の顔をジーっと見つめてみる。
相変わらず可愛い。
涙は引っ込んでしまっているが、擦った痕で赤くなっている。
それに頬っぺたも擦りむいてる。
「あ、のさ……っ、なんでそんな強いんだよ!」
『昔から習い事してたから。自分の身は自分で守れって。それに私長女だからさ、妹のことも守れるようにならないとって……我ながら純粋だよねー。』
「そ、……あ、あのっぁ…りがと、」
『え?』
「助けてくれて……ぁ、ありがとうって言った!!」
『あ、う……うん。』
英依は真っ赤な頬と尖った唇で不機嫌なのか照れているのかよく分からない表情をしている。
まさか、お礼を言われるとは思ってなかったから──だから、
「な、なに?」
『英依、心臓痛い。』
「えっ!?ええ!!だ、大丈夫か!?」
だから、鼓動がどくんどくんと速くなって息が苦しくて、胸が軋みそうな程痛くなるのは仕方ないことなんじゃないか。
『っ……英依、』
「ん、ん?」
私のことを本気で心配して駆け寄った英依を見上げ、薄茶色の瞳と見つめあって数秒。
私の手は英依の後頭部に添えられて、ゆっくりとお互い息がかかるまで顔が近づいているのに英依も私も抵抗できずにいた。
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