第23話
日陰に座り、嘉乃は爛々とした目で俺の目の前に座った。
「夏樹はなんで引っ越ししてきたの?」
『親の転勤。なあ、お前ら学校来たときのアレなんだよ。お出迎えみたいなやつ。』
「あー、見てた?なんか勝手に始まってよー。放っといてるだけなんだよ。」
どうでもいいように嘉乃は適当な返事をして寝転がった。
慧斗はすでに寝転がって寝息を立てている。
テルはフェンスに寄りかかってスマホを弄っていて、來禅はバッグから焼きそばパンを取り出して食べていた。
『……お前ら、何?』
あれだけの数の不良たちが頭を下げ、さっきもすれ違う生徒や遠目に此方を見ていた生徒たちの羨望と尊敬の念が込められた瞳たち。
テルから聞いたここを統べる【KINGDOM】が彼らであるのは聞いた。
しかし、その【KINGDOM】とはなんだ。
そして、俺の質問で瞬時に変わった張り詰めた空気。
「【KINGDOM】って知ってる?」
『テルから聞いた。來禅がここのトップだっていうのも。族って言われてもさ、何してんのかーって疑問に思っただけなんだよ。』
「なるほどねー。簡単に言えば、バイク好きが集まって集団で走ったりー色々だな。知りてぇなら、夏樹も溜まり場来るか!?」
『テルも【KINGDOM】?』
「ちゃうちゃうー!」
「テルは……友達みたいな。」
煮え切らない曖昧な言い方に首を傾げたが、深く聞くのも躊躇ってやめた。
『ふーん。溜まり場ってのはまた気が向いたら誘ってくれ。』
それから、他愛もない話をして午後の授業から教室に戻って授業に参加した。
ほとんどの生徒が食後寝ていて、わりと静かに授業を受けることができた。
來禅とテルも寝てるかスマホ弄ってるかで静かだ。
そして午後の授業も終わり、三つ子のグループトークを開くと既に二人が会話をしている。
『テルー、今日暇?』
「まあまあねー。」
まあまあってなんだ。
ダチと帰る、とメッセージを送って立ち上がるとテルも立ち上がってリュックを背負った。
『地元の飯が旨い店とかあったら教えてくれよ。』
「そういうことならまっかせなさーい!」
『來禅も行くか?』
テルの隣の席で眠っている來禅に声をかけたが全く起きる気配がない。
「カドゼンはー、中々起きナッシングだからー。お姫様が起こしに来るまでほっといておっけー。」
『お姫様?』
「そー、【KINGDOM】のプリンセスはなちゃーん!」
プリンセスはなちゃん?
テルは色んな奴のことその時々のあだ名で呼んでるから誰のことを言っているのかも分からない。
【KINGDOM】の奴が迎えに来るなら、そのまま走りに行ったりそいつらと飯でも行くかもしれないな。
『プリンセス……そんじゃほっとくか。行こうぜテ「なっちゃん!!」ぅぐっ!』
カバンを方にかけた瞬間、ドスッゴンッと横腹に物凄い衝撃が襲ってきて、気がつくと目の前は薄汚れた天井。
腹を締める温もりと重みに押し倒されたことを理解して、頭だけを持ち上げると後頭部に痛みを感じた。
ああ、倒れたときに床に強打したからな。
勢いよく突進してきた“猪”の頭をグッと掴んで持ち上げると潤んだ大きな目を睨み付ける。
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