第20話

俺たちの前方から三人の異様な威圧感を放つ男子生徒たちが、廊下を横広がりに悠然と歩いてくる。

一人楽しそうに声を弾ませてお喋りしているよは、黒髪に赤のインナーカラーを入れている三人の中でも一番小柄な少年。



そして、柱に激突して辺りをキョロキョロ見渡している慧斗と呼ばれた金髪の少年。

遠目からでも分かるその美貌の中心にある鼻から残念なことに鼻血が出ている。

赤インナーくんにポケットティッシュを渡されて鼻を押さえている。



そして一言も発していないが、真ん中を歩く一番身長が高い色素の薄いアッシュグレーの少年。

表情筋が死滅しているんじゃないか?と疑いたくなる程の無表情。



「……誰だ。」



そんな男は、鼻血を垂らしている友人を一瞥もせず、ただ廊下の先にいる俺を射抜く。

威圧的にまるで自分が絶対君主であるような、獲物を狙う鋭い双眼を細めた。

低く静かに響いた声が、一瞬で張り詰めた空気を生み出す。



『アイツか、学校で一番強ぇ奴ってのは。』



「いえっすっすー!なっつんえらいねぇ。よく分かったねぇ。」



しかし、こんな時でも一人だけ陽気な声を上げるテル。



「テル。」



「禅ちゃんやっほー今日も重役出勤おつのおつー!」



テルは変わらない笑顔で変わらないテンションで話しかける奇妙な空間。

男から出る殺伐とした空気に、いつの間にか教室の窓から固唾を飲んで周りの生徒が傍観している。



「あれ、テルといるのが転校生?」



「おっはーノンノン!」



「おい!お前が來禅のクラスの転校生?」



興味津々に近寄ってくると、上から下へ……下から上へと俺を凝視する。

ゆっくりと歩いてきた二人も俺を観察している。

いや、アッシュグレーくんは赤インナーくんの問いの答えを待っているだけみたいだ。



『來禅って奴は知らねぇけど、C組のことなら俺のことだな。』



「うぇ!?ここらに住んでて來禅のこと知らねぇのか!?」



『え、有名人か何かか?引っ越してばっかでよく分かんねぇんだけど……』



「そっかそっかー。これからよろしくなー!俺は浅沼嘉乃あさぬま かので、こっちの無表情が門倉來禅かどくら くぜん。鼻血出してんのが齊藤慧斗さいとう えと。」



來禅って奴はこの無表情くんのことなのか。

主にニュースや新聞しか読まないから、あまり有名人には詳しくないから見たことないなー。



『俺は大神夏樹。』



人懐っこい笑顔で手を差し出してきた嘉乃と握手して、自分も自己紹介をした。

そんな俺たちの間を「どーんっ!」とテルが割って入る。中々の衝撃が腕を伝う。



「いってぇなテル!この宇宙人め!惑星に帰れ!」



「地球人でございまするー。」

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