第19話

嫌がるテルを引っ張って教室までの道を進んでいく。



「うぇー!もっとなっつんといちゃいちゃしたかったぁ!」



『は?い、いちゃいちゃだ?』



俺は女だけど、見た目は男に見えるからテルも開口一番に俺を男だと認識していたじゃないか。

お前、男といちゃいちゃって……まさかそっちか!?

こいつは言動はネジ溶けちゃってるけど、そっちなのか!?



『て、テル……お前まさか、男が好きなのか……?』



恐る恐るテルを振り返りそう問うと、テルは驚嘆の声を上げて笑い転げ始めた。

不良たちが各々の教室に戻っている最中だから、多少ざわついているがテルの笑い声が廊下に響いて視線が刺さる。



「ひははっ!!な、なんでっそう、そうなるん?」



『だって、男といちゃいちゃって……』



「ひーっ!!マジウケピ……先にネタバレすっけど、俺ふっつーに女の子好きなんよ。」



『お、おお。』



「んじゃー俺からも聞いちゃうけど、なっつんなんで男の格好してんの?女の子っしょ?」



ゆっくりと伸びてきたテルの指は、俺の黒髪を一房掴むと指先でくるくると弄び、そのまま首筋に滑るように指を這わせる。



『っ、擽ってーよ。女だけど?』



「あり?事情があって隠してんだと思ってたんだけんど、ちゃうちゃう?」



『ああ、女を隠してる訳じゃないぞ。スカートが嫌いなだけ。』



スカートのスースーすんのがどうも慣れない。

前の学校でもスカートの下にはショーパンを履いていたが、それでもヒラヒラするのが鬱陶しかったのは変わらない。

この学校は女子でもズボンオッケーなのが良いところだな。



だが、多分クラスの全員が俺のことを男だと思っているだろう。

この見た目だから、誤解されるだろうとは思っていた。

第一人称も“俺”だから。



────何故、テルは俺を女だと分かったんだ?



それを聞こうとした時、既に静まり返っていた廊下に威圧感と数人の男たちの話し声が響いた。



「クラスに転校生来んの今日じゃん。後で見に行くわー。慧斗ちゃん、歩きながらウトウトすんなよ。」



「うぶっ!」



「ほらー!言った側から柱とごっつんこしちゃってんじゃーん!」



「む……敵襲か!?」



「おいおい、しっかりしてくれよー……ん?どったの來禅よ。」

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