第16話

「んー、分かったー。はい、もういいよーあっちいけよー。」



ああ、良かった。

リーゼント君は逃げるように教室の別の席、きっと本来なら俺が座るのであったであろう席に座って膝を抱えて泣いている。



テルが意外と素直に引き下がってくれて助かった。

しかし、こいつ……イチ姉と同族じゃねぇか。



「なっつん、こっちおいでおいでー。」



『お、おう。』



「どんな奴かと思ったけどー、なんか仲良くなれそー。」



『なあ、質問いいか?』



「お、早速質問タイム?ばっちこーい!」



髪の毛同様、騒がしい奴だな。

イチ姉と暮らしているせいで、変な免疫が備わっている俺にはさっきの奇行くらいどうってことはない。



『この学校で一番強いのって誰?』



「なんでそんなこと知りてーの?」



『そんなん決まってんじゃん。タイマンするため!』



その瞬間、教室内の空気が凍りついた。

背筋に纏わりつく寒気。

へらへらした笑顔だったテルですら、きょとんと驚いた顔をしていた。

しかし、そんなものは一瞬でなくなって腹を抱えて笑い出した。



「ぎゃははっ!おっもしろー!タイマンして、どうするの?この学校を乗っ取ろうとか?夏樹面白そうだから、もっと仲良くなりたいのなー。アイツに壊されちゃったら面白くねぇじゃん。」



『乗っ取る?そんなのどうでもいいから、俺は強い奴と闘いたい。俺、この学校で目一杯面白可笑しく楽しく過ごしてぇの。テル、俺とダチになろうぜ。』



「熱血馬鹿じゃーんっ!ウケるわー。いいよーん!ダッチになろうぜー。」



そう言った瞬間、テルは俺の腕を引っ張って何も言わず教室を後にした。

もうすぐ授業が始まる。

授業中は話すわけにはいかないから、外に出たのかな。

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