第13話

英依は和巳に対しては素直で、表情も柔らかい。

心を許せる仲……親友とかいうやつだろうか。

泣き顔が好きだが、和巳に向けるあの顔を自分のものにできたら、どんな気分だろう。



『……あ、教科書ねぇや。』



「そっか。英依、見せてあげなよ。」



「い、嫌だよ!誰がこんなゴリラ怪物に……」



『あ?誰がゴリラだ?』



「怪物はスルーなのね。もしかして、朝言ってた“ゴリラで獰猛でヒグマじゃない肉食的なホッキョクグマ”?」



『なんじゃそりゃ。』



授業が始まっているというのに腹を抱えて笑う和巳と、呆けた顔の私は、全ての事情を知っている英依を見やる。



……ああ、面白くなりそうだ。



「……男を俵担ぎする女は女じゃない。珍獣だ。」



「ハントされたの英枝じゃん。」



『そうか……私ハンターになる。』



「ぶふっ!」



和巳は一人爆笑しているが、私は本気だ。

転入早々、富んだ良作を見つけた。

暇潰しにはなかなかに楽しめそうじゃないか。



「英依、覚悟しないとじゃない?」



「……馬鹿か。近付くなよ。」



私の耳には、二人の言葉はすり抜けて行った。




───さあ、どう堕とす?

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