第3話
子羊と言うかバンビちゃんと言うか……滅茶苦茶可愛い。
夏樹と亜樹が言い合いを始めるが、圧倒的に夏樹が優勢だ。
『私の亜樹に、手ぇ出そうなんて輩は一樹様がぶちのめすから。』
「いっちゃぁん!」
半泣きで、ソファーに仰向けになっていた私にダイブした亜樹。
『ぐはっ!…う、げほっ、』
我が家で唯一小動物だから、皆で愛でているわけなのだが、私にもひとつ思うことはある。
正直、小動物と言うより猪じゃないかな、と。
「あああっ、いっちゃああん!!」
『あ……、お花畑……。』
「そっち行っちゃだめえええッ!」
『うるせぇ。耳元で叫ぶんじゃねぇ!』
ガックリと気絶しかけた私は、亜樹の絶叫で気絶することも出来なかった。
他の奴がやったら、虐めまくって泣かせるが、妹たちにそんなことをすれば父さんにキレられる。
『チッ』
「ううう……ごめん、ねぇ。」
大きな瞳から涙を流す亜樹。
普通の人なら、罪悪感から直視しないだろう。
しかし、私の大好物の泣き顔を前に私は嗤っていたと思う。
「亜樹、イチ姉が喜んでる。」
「ふえええっ!」
夏樹の言葉に、亜樹が私から距離を取る。
そして、じとっとした目で私を睨み付ける。
実際、それは睨みになっていない。
だって、潤んだ目をそんなにしても怖くねぇし。
寧ろ、私を興奮させるだけだ。
『亜樹ぃ…おいでぇ。』
「い、いやあああっ!」
亜樹の悲鳴が家全体に響き、執事の榎木がやって来たのは数分後。
私は大目玉を食らう羽目になったのだった。
─────
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季節は変わり、シトシトと雨の日が続く私の嫌いな梅雨。
ジメジメしてうざったいのなんの。
そして今日が、私たちの初登校日になる。
「「『ふあ……んー。』」」
眠気と吐き気でダウン中の三つ子が、並木道を歩く。
春には桜が、夏には新緑が美しいだろうこの道。
しかし、雨のせいで、葉は散って美しいとは言えない。
眠気と吐き気でダウン中の三つ子が、並木道を歩いて行く。
前の学校同様、春には桜が咲き、夏には新緑が美しいだろう道。
しかし、雨のせいで葉も散って美しいとは言えない。
『あー、今日からはスイッチ入れなくて良いんだよな。そう思うと、転校も悪くないな。』
「いっちゃん、さすがに男口調はだめだよ。普通の女の子になってね。」
「結局また作り物か。」
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