第36話

意味が分からなくて、私は耶麻を見つめていると耶麻は嬉しそうに自分の唇をペロリとなめて言った。





「久々の喧嘩だなあ。来いよ。…こっちは体が鈍ってて、困ってたところだったんだよ。」



中途半端に留めていた学ランのボタンをバッとすべて外して、学ランを床に投げ捨てる。



こんなに楽しそうな耶麻は、久しぶりに見る。




…獲物を狩れることの喜びを、思い出したような、そんな喜び方ではあるけれど。





「でもなあ、死んでも真野は渡さねえ。俺がここに来た目的をここで曲げる訳にはいかねえんだ。」



両拳を合わせるようにバンッと音を立てて、二人を挑発する耶麻。



『やめて』と言いたいのに、体が動かないし、ましてや口も動かない。



足がすくんでしまっているようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る