第43話

しかし、それが聞きいられることはなかった。



結局、二人は結婚してしまったのだ。







そして、引っ越しの日に俺は俺の父親になるハズの男に出逢った。



『はじめまして、当夜君。』



外面のいい男。



印象はそれだけだ。



それ以外には、何も見ようとも思わなかった。



見ても無駄だと、俺は勝手に思っていたのだ。




俺はずっと一日目を逸らし続けた。




最愛の母親にさえも。







そして、夕食の時間。



『そう、当夜君。僕には大事な一人息子がいるんだ。会ってやってくれるかな?』



いきなりその男は、自分に息子がいると言いだした。



会う気などさらさらないのだが、それを断れるハズもなく、ただ黙っていた。



それを肯定だと認識したのか、その男は俺の“義兄”を呼んだ。






『薺(ナズナ)。』



男がそう呼んだのは、いつになっても忘れられない記憶。

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