第10話
光くんに冷めた目を向けると、「そんな顔で見ないで」と頬を赤らめてそっぽを向いた。
『いやいや、今の一言にそんな表情をさせる力はないよ。』
「あははっ!」
パリーンッ、と大きな音がした背後を振り返ると隆明がトレーに乗せていた水とおしぼりを落としたようだった。
私たちを見て口をパクパクしている。
「隆明。」
「はっ!す、すんません……。」
ドジっ子なのかな。
彼はずっと挙動不審で、マスターの低い声に我に返ると割れたグラスとトレーを回収して掃除し始めた。
「悪いな。」
「いいえ、俺のせいですよね。」
マスターは私たちの前に水とおしぼりを置くと、困ったように笑った。
「紺ちゃん、何食べたい?」
『光くんのおすすめ。』
「分かった。煮込みハンバーグセットとブレンドお願いします。」
マスターは頷くと奥へと下がっていった。
「光さん、今何処で何してるんすか。連絡しても電話も通じないし、唯一ダメ元でした次の頭決めの相談にだけ返事してそれからは音信不通。どういうことですか!」
「怒ってる?」
「怒ってないっすけど……みんな心配してるんです。」
「ごめんごめん。俺はいつも自分のことばっかりなんだよ。タカ、お前には迷惑かけっぱなしだったな……。それにしても、お前がここに就職してたとはな。」
「これでも新米バリスタなんすよ。ここ、光さんが連れてきてくれた店ですよ。覚えてますか?」
「ああ。俺も恩人に教えてもらったんだ。」
そう言うと、私を見てクスッと笑った。
光くんにとって父は恩人なんだ、と少し驚いた。
「それで、そっちの子は……?」
「この子は紺ちゃん。美少年でしょ。」
『ども。美少年でないので答えにくいでしょう。無視してください。』
「酷いなー鏡見ておいでよ。」
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