第11話

光くんのペースで隆明は完全に呆れて白い目をしていた。



「えーっと、高校生?」



『はい。』



「どこ?」



『百合学。』



「おっ、何年?」



『一年っす。』



「一年ってことは桃里知ってる?」



『まあ。』



ああ、この人も髑髏の人か。

光くんに敬語ってことは光くんの後輩。



「お前は自己紹介したのか?」



料理を持って奥から戻ってきたマスターがそう言うと、思い出したように隆明が私の前に手を差し出す。



「自己紹介し忘れてた、悪いな。清河隆明きよかわ たかあき、21歳!俺も元百合学なんだ。よろしくな!」



『僕は八雲紺です。よろしく。』



隆明の手を握ろうとした時、光くんが何故か私の両手を握って微笑む。



『なに?』



「んーいや?なーんも。それより食べよ。」



『うん。手離してよ。』



「えー?」



『手、離して。』



「やだ。」



『食べれないんですけど。グツグツしてるんですけど。美味しい匂いがしてるんですけど。食べたいんですけど。』



「っ!!いだだだっ!」



光くんの手を三分の一の力で握ると、ミシミシと骨の軋む音がして光くんの手から力が抜ける。

やっと解放され、グツグツと湯気をあげながらデミグラス香るそれに向かい直る。



『いただきまーす。』



「……いただきます。」



光くんは未だ手を擦り、潤んだ目で私を睨んでいたが無視。

そんな私たちの様子を見てマスターは笑い、隆明は驚愕していた。



『うまーっ!!』



それから、料理とマスターのコーヒーを堪能して店を出た。

光くんはバイト先の近くまで私を送ってくれた。



『ありがとー!』



「帰りも迎えに来るよ。」



『え、悪いよ。だって光くん休みなんでしょ?』



「俺がしたいからいいの。じゃあ頑張ってね。」



サラッとイケメンなこと言えるからなんか狡いよね。

ありゃモテますわ。



そんなことをぼんやりと思っていた私は、光くんの車を見送りお店へと急いだ。





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