第11話
光くんのペースで隆明は完全に呆れて白い目をしていた。
「えーっと、高校生?」
『はい。』
「どこ?」
『百合学。』
「おっ、何年?」
『一年っす。』
「一年ってことは桃里知ってる?」
『まあ。』
ああ、この人も髑髏の人か。
光くんに敬語ってことは光くんの後輩。
「お前は自己紹介したのか?」
料理を持って奥から戻ってきたマスターがそう言うと、思い出したように隆明が私の前に手を差し出す。
「自己紹介し忘れてた、悪いな。
『僕は八雲紺です。よろしく。』
隆明の手を握ろうとした時、光くんが何故か私の両手を握って微笑む。
『なに?』
「んーいや?なーんも。それより食べよ。」
『うん。手離してよ。』
「えー?」
『手、離して。』
「やだ。」
『食べれないんですけど。グツグツしてるんですけど。美味しい匂いがしてるんですけど。食べたいんですけど。』
「っ!!いだだだっ!」
光くんの手を三分の一の力で握ると、ミシミシと骨の軋む音がして光くんの手から力が抜ける。
やっと解放され、グツグツと湯気をあげながらデミグラス香るそれに向かい直る。
『いただきまーす。』
「……いただきます。」
光くんは未だ手を擦り、潤んだ目で私を睨んでいたが無視。
そんな私たちの様子を見てマスターは笑い、隆明は驚愕していた。
『うまーっ!!』
それから、料理とマスターのコーヒーを堪能して店を出た。
光くんはバイト先の近くまで私を送ってくれた。
『ありがとー!』
「帰りも迎えに来るよ。」
『え、悪いよ。だって光くん休みなんでしょ?』
「俺がしたいからいいの。じゃあ頑張ってね。」
サラッとイケメンなこと言えるからなんか狡いよね。
ありゃモテますわ。
そんなことをぼんやりと思っていた私は、光くんの車を見送りお店へと急いだ。
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