第364話

家の中はもう何もほとんどない状態で、すっからかんだった。



「ごめんね、何かあったかいものでも用意出来ればよかったんだけど…」



そう言って、俺の前に生ぬるいお茶を出してくれた。



でも、正直それを出してくれてよかったって思う。



実は少し猫舌が入っている俺には、それくらいが丁度良かったから。



「お気づかいありがとうございます。」



俺はそう感謝を述べて、出してもらったお茶を飲んだ。



少し苦い緑茶だったのだが、今はそういうものが飲みたい気分だったので逆に良かった。



俺はそっとコップを台の上にへと置いた。



それを見計らったように紗希さんは話を始めた。



「どうしたの?雨の中、家になんて立って…?」



どうやら、こんな日に俺が家の前に立っていた事を不思議に思ったらしい。



それはそうだ…もっと違う日に普通の人だったら行くと思うから。



でも、今日は俺のけじめをつける最後の日だったから。



これからはもう、何にも思い煩いを持ちたくはなかったから。



だから、今日を選んだんだ。

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