第326話
御手洗は少しじっと俺を見つめた後に、そっと言った。
「一見、何ら変わらずの玲衣お坊ちゃまかと思われました。
が、今日は何だかお顔が歪んでおります。」
歪んでいる。
いや、それでいい。
それくらいが丁度いいんだ。
桐生君を裏切る準備はもう出来ているということだな。
うん、いいんだ。
俺は一生懸命自分にそう言い聞かせた。
「では、行ってきます。」
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ。」
そう。
もう後戻りは………
デキナイ。
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