第300話
「置いて行くなっつっただろうが!!」
「そうだったっけ?ごめんね、桐生君。」
何とか自分の変な感情を押し潰して、平常心を保った。
何なんだろうか、このくすぐったくて不思議な気持ちは。
今までに味わった事のないものに等しくて、何をどうすればいいのかさっぱり分からない。
ただ…彼と共にいたいという気持ちだけが、強まる一方だ。
心の中で、そう試行錯誤していると俺達の前から声が聞こえた。
「おう、達沙。今日は早いじゃねぇか。」
咄嗟に聞こえて来た声に、俺は反応を見せた。
桐生君と仲のいい友達の男の子。
真面目そうに見えるのだが、少しやんちゃな所がありそうな男。
人の観察が好きな俺には、彼がどんなヤツなのかは容易に理解出来た。
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