第296話
「宮原先生。」
そう宮原の名前を俺は口端を上げながら、呼んだ。
宮原はもちろんの如く、桐生君もその女子生徒も野次馬軍団も俺の方にへと視線を向けた。
「き、木下君?」
「宮原先生、こんな所で口喧嘩とは…珍しいですね。何か大変な事でもありました?何なら、僕もお手伝いをしますよ。」
俺は確信犯だった。
宮原が俺が苦手だという事を知っていた上で、こんな事をしていたのだから。
我ながら酷い、腹黒いヤツだとは思っていたが、今は別にどうでもよかった。
桐生君を助ける事が出来れば、何だってよかったんだ。
「い、いや…木下君の手を煩わせるものの程ではないよ。じ、じゃあ私はこれで失礼するよ。」
重たそうな体を一生懸命に動かして、この場を小走りで去っていく宮原。
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