第291話
「木下!!」
「ああ、桐生君。」
廊下を歩いていると、桐生君が俺に声をかけてきた。
大きく手を振って俺の元に来る桐生君は、何だか小さな子供みたいだ。
何だか、子供に好かれたみたいで複雑な気分になる。
いい意味の複雑なのかもしれないが…。
「昨日はサンキューな!!」
「気にしなくていいよ。…まぁ、昨日の桐生君には少し驚かされたけどね。」
「…それを言うんじゃねぇよ。」
そう俺が楽しそうに言うと、急に落ち込んだように顔を暗くした桐生君。
いや、で昨日の桐生君には本当に驚いた。
…彼の国語の出来なさに。
小学生の問題を引き出してあげたのに、彼には難しかったらしい。
いやいや、と言って嘆いていた姿を俺は思い出す。
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