第292話
「……ぷっ。」
「うわ!!絶対今、思い出し笑いしただろ!!」
「いや…ついね。」
俺がそう言うと、彼はプンスカ何かを言いながら前を歩いて行った。
彼が何かを言っているのだが、全く頭に入らない。
ただ彼と一緒にいる時間が、心地良くてそれに浸っていた。
これが何なのかは分からないことにくすぐったさを感じていたが、それでもいいか…なんて思ってしまった。
だって、心地良いんだから仕方ない。
そう思って、俺は桐生君を微笑ましく見ていると…どこからかこんな声が聞こえた。
「や、やめてください…っ!?」
他人には聞こえないような小声だったのが、昔から耳は良かったので俺の耳には聞こえてきた。
ゆっくりとそちらの声に俺は振り向く。
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