第289話
…軽蔑なんてされたくない。
それ以上なんて、もってのほかだ。
何故かは分からないけれど、彼みたいな人には嫌われたくはなかった。
彼には俺の裏を見せたくはなかった。
彼にだけは……知られたくなかった。
本当の俺を。
本当の木下 玲衣を。
不思議な感覚が俺を襲っていく。
今まで感じたことない気持ちで、どう対処していいのか俺にはさっぱり分からない。
「木下?」
ああ、彼の純粋な瞳を見てしまうと、どれだけ自分が黒に染まっているのかを嫌でも理解してしまう。
…それほどまでに彼の存在は、俺にとっては奇跡だったんだ。
真っ白で、この世界では絶対に生きていけない人種。
…俺の兄貴と同じ部類。
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