第284話
「そうですね。一番大切な人が嬉しそうだと、自分も嬉しくなりますよね。」
俺は知らぬ間にそんな事を口にしていた。
兄の事を想いながら。
兄の事を想うと、いつも壊さない鉄壁の笑顔が少しだけ崩れる。
…本当の笑顔がチラリと姿を表すのだ。
それだけ、俺もこのお姉さん達と同じで兄の事を一番大切に想っていた。
その表情を見た郁さんと幸さんは、少し間をあけた後に俺の頭を撫でた。
びっくりして俺は思わず、身を後ろに引いた。
「な、何を…っ!?」
「いやぁ~、あんた達沙並みにいい子だわぁ。なでなでしてあげる。」
「うむ、久々に姉心が疼いたな。」
姉心って何!?
初めて聞いたんだけれども…。
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