第266話
「玲衣さん、以前のテストは何位でしたの?」
「心配しないでください、母上。きちんと期待に応える順位を取って参りましたので。」
「あらぁ~、流石ね。玲衣さんは皐月さんとは違って優秀だわ。」
そう言って、おほほと口に手を添えて笑っている母。
俺もそれにニッコリと応える。
でも、裏では笑ってなんていない。
俺が兄よりも優秀だって?
馬鹿も休み休み言ってほしいものだ。
兄は俺なんかよりも、もっともっと優秀な人だった。
そんな兄を馬鹿にした言葉を聞きたくなかった。
本当は今持っているグラスの中身をお前の顔にかけてやりたいくらいに怒りが昇り詰めていた。
しかし、そんな事は出来ない俺。
俺にはそうする術を知らない。
父や母に逆らう事が出来ない。
いや、出来ないのではなく知らないのだ。
“笑う”他にどうしていいのか、俺には分からないんだ。
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