第120話

言えるワケないよ…。



あんな事…。








「…や…ま……真野!!」



「うひゃい!!」



「何だよ。ぼうっとしやがって…。」



目の前には瑠衣の心配そうな顔。



どうやら、私はぼうっととして瑠衣の呼びかけに気がつかなかったようだ。



いや、わざとじゃなかったんだけど。





「いや、ごめんごめん。ちょっと考え事をさ。」



「まぁ、いいけどよぉ。」



瑠衣はそう言って、机の上にあるたい焼きを頬張った。



それを見て、私はようやくたい焼きの存在を思い出した。



「あああぁぁ!!たい焼き、冷めてる!!」



「っせぇな、耳元で叫ぶなや。」



瑠衣はそう言って、耳を塞ぐ。



一方の私はシクシクと言いながら、たい焼きを頬張った。



ああ、うん…お前は冷めても美味しいよ。

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