第19話

「あれぞ絶世の美女!!俺は女神を見つけたっ!!」



両手を天に向けて満面の笑みを浮かべる。

何を基準に“絶世”の称しているのだろう。



「へー、がんば。」



『先月もそんなこと言ってなかった?また飽きて終わるんじゃない。』



ナンパして、珍しく手こずって手に入れた連絡先の女性とデートしていた筈なのに、もう駄目になってしまったのか。



「あの人は俺の運命の相手じゃなかったけど、今回は違う!」



「また手ぇ出したら飽きたの?」



「……ベッドでは相性良くなかった。毎日電話してくるし、なんか胃もたれする。俺の理想は、少しドライで時々甘えてくる感じの清楚だけどミステリアスな人が良いの!分かる?」



「『分からん。』」



ようは重かったと言うことか。

おまけに理想の相手は、面倒くさそうだ。

これだからお子さまは、と自席に戻った大門は別のクラスメートと趣味の話で盛り上がっている。



「あのくらい能天気になりたかった。」



『転校生……ね。』



「ん?気になる?」



『まあ、そりゃあね。』



「見に行けば?」



それをすれば、簡単なことは分かっている。

でも、何故だろう。

言い様のない胸の霧が首を絞めて、身体を縛り付ける。



『ちょっと調べてからにする。』



俺の言葉に緋埜は目を細めて、興味が失せたようにスマホに視線を落とした。

羅威はお弁当を完食すると、手を合わせて俺に返してきた。



「真白も懐いてて、珍しく教室にいるんだよなー。」



『良かったね。』



「真白は可愛い系だけど、あの子は綺麗だな!」



『良かったね。』



「杏璃の好きなタイプってどんな子?」



『良かったね。』



「おい!」



適当な返事であしらっていたことがバレて、机を蹴られる。

鼻息の荒い顔を押し退ける。



『それで?転校生さんの名前は?』



「……紫苑ちゃん。名字は聞いてない!」



ドクッ、と心臓が嫌な音を立てて視界が揺れる。



「綺麗な白っぽい金色で……どうした?杏璃。」



『え?ううん、続けていいよ。』



「顔色悪くねぇか?」



『大丈夫、何でもない。』



浮かぶのは、腰にまで伸びたプラチナブロンドを揺らす幼い少女の姿。



「そういえば、杏璃と同じ色だったな。髪の毛。」



俺がガタッと机を揺らしたと同時に、校舎内に女子生徒の甲高い叫び声が聞こえてきた。

それも、一人や二人じゃない。

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