第18話
『シャツは何処行っちゃった?』
「んー……何処だ?」
自分の周りを見渡して、毛布が床に落ちる。
床に落ちた毛布を慌てて拾い上げると、毛布と共にYシャツが付いてきた。
「あっれー」
『その様子だと、午前中もサボってたんだろ?』
「おサボりの杏璃くんには言われたくねぇな。」
げっ、と顔をしかめてから唇を尖らせて膨れっ面で不服を申し立てる。
このくらい、反論とも呼べない。
笑顔を貼り付けて、羅威たちが座るソファーの背後に回り込む。
『そっか。じゃあ、おサボりの杏璃くんと羅威くんで教室に行こうか。』
「……ごめんなさい。」
謝ろうとも服を着ていなかろうと、小脇にかかえて部屋を出た。
ついでに緋埜の首根っこも引っ張り上げて。
「羅威が余計なこと言うから……」
『学校に来て一度も授業に出ないのは可笑しい。』
「……あのイカれた生徒会みたいなこと言うなよ。」
愚痴ったれる二人を引きずり、教室に入る。
教室内は、見事に二つの反応に分かれた。
この学校は、二つの勢力によって均衡が保たれている。
本来なら【阿修羅連合会】同士の争いなど起こらない。
組織は違えど仲間であることは変わらないのだから、干渉はしなくとも協力と情報共有をする。
【神王】と【天王】が同じ高校で、ある出来事をきっかけに反発し合うようになった。
「杏璃、お腹すいた。昼寝してて食べ忘れてた。」
「自業自得。」
『あ、お弁当いる?』
鞄から帝とは色違いの弁当箱を取り出して羅威に渡す。
「ま、ママ!」
「でも、杏璃くんのご飯が」
『俺はお腹すいてないから。』
料理は好きだ。
誰かが美味しいと食べてくれるのが嬉しい。
帝はうんともすんとも言わない上に、真顔で完食するのが常。
作っている身としては、一言だけでもくれると明日も頑張ろうと思えるのだが。
「良いお嫁さんになれるぞ。」
『租借しながら喋らない。』
「姑の間違いだろ。」
既にお弁当の半分以上を食べ進めている羅威がうまいうまい、と食べてくれる姿に頬が緩む。
教室の片隅で和んでいると、突如として廊下から雄叫びが聞こえてきた。
声の主がはっきりと分かるほどの、大きな雄叫び。
乱暴に教室の扉を開けると、机を薙ぎ払いながら一直線に此方に走り寄ってくる。
「やべぇやべぇ!!」
「どったの?」
緋埜がスマホ片手に視線も向けずに大門に投げかける。
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