第257話

「はい。」



返事をすると、彼は曖昧な表情をした後に私に視線を合わせる。



「俺はお前にもう一度告白しようと思って、逢いに来たんだ。」



―――…そうだろうと、思っていた。



前に別れたのは一度距離を置くためだったから、そういうことだろうとは思っていたけど。



彼の言い方に少しだけ引っかかる何かを感じた。




「?」



「でも、やめた。」



「え?」



やめ、た?



どうして?



何て聞く資格がないので、私は無言で彼を見つめていると、彼は力なく笑う。



変わらず優しい笑顔なのは、私を気遣ってからなのかもしれない。



最後まで、本当にいい人だ。





「もう、紗綾には支えてくれる男がいるって分かったから。――…やめた。」

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