第256話

どちらも喋らない中、車が走る音が聞こえるだけ。



この辺りは車通りが激しいので、あまり静かな場所ではない。



……今日は上条さんは車では来ていなかったようだったので、歩いて私の家まで送ってくれている。




「何か、わざわざすみません。」



「いい。俺が好きでやっていることだ。気にするな。」



久々に見る彼のその優しい瞳は、漆黒で吸い込まれそうだ。



―――…どうして私はこの大人で優しい彼を好きにならなかったのだろう。





なんて思ったら、砦に怒られるかしら?



……まあ、事実砦が好きなのだからもうそんなことを思っても仕方のないことなのだけど。





「なあ、紗綾。」



そんな時、ふと彼が話しかけてきた。

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