第85話
ああ、そうだ。
写真の兄に、本当に似ている。
意識したことがなかったから気付かなかっただけなのかもしれないけど、どうして今の今まで気付くことができなかったのだろう?
自分の父親を見分けることが出来なくて、自分を恥じる。
私は涙で溢れそうになる中で、静まり返っているこの場で楔さんに尋ねる。
どうか、どうか本音を彼が吐いてくれますように。
「楔さんは母を………兄を、愛していましたか?」
―――…聞きたいのは、それだけだ。
「今でも、愛していますか?」
願いを込めて、彼に。
私はギュッと掌を握りしめながら、彼にそう尋ねた。
楔さんはそんな私を見て、少し顔を歪めたようだったけど、くしゃりと崩す。
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