第605話
みんなが集まれば、すぐ解散!とならないのがこの人たちだ。
短大から直行でここまで来たのだから夜ご飯はまだ食べていない。
夜ご飯がジュースとフルーツだと言われたらショックだ。
それだけでお腹が膨れるわけじゃないし。
そうなると、ここで夜ご飯になるのだが………………
光さんのことだから作って提供なのかな?と思ったら、出前を頼んでいたらしい。
「今日は俺の奢りだ。食べてくれ」
お祝いとかで食べる寿司がドーンとテーブルに置かれた。
何人前頼んだのか分からない量だ。
そしてサイドメニューとして揚げ物まである。
定番の唐揚げとポテトフライに白身魚のフライ。
子供が喜ぶメニューだな。
「豪華ですなぁ。出前のお寿司を頼むなんて太っ腹です!で!美味い!!」
先ほどまでドーナツやカットフルーツを食べていた真理亜だが、胃袋はまだ余裕があるらしく寿司を食べ始める。
「たくさん食べろ。コレだけじゃないからな」
光さんがそう言うと海が立ち上がり部屋から出る。
はて?
何か合図でも送ったのか?
少し待つと海がピザを持って戻ってきた。
また、出前か?と思ったがピザだけはここで作ったらしい。
王道のマルゲリータやチーズが大量に使われたクアトロと照り焼きチキンや明太マヨなど和風ピザもある。
「ウヒャッ!ウヒャッ!今日は何かのパーティーですか!?最高じゃないですかーーッ!!」
真理亜が一瞬壊れた。
ウヒャッ!と笑う人、初めて聞いた。
余程、ピザが嬉しいのか寿司を食べながらピザに手を伸ばしている。
寿司以外、全てコッテリ系ばかりだ。
というか真理亜が好みそうなものばかりだなぁ。
「足りなかったら追加注文してやるから気にしないで食べろ」
全て光さんの奢りらしいが、ここまでしなくてもいいと思うけど。
「そろそろ出来上がるかなぁ?」
海がボソリと呟いた。
「何が出来上がるの?」
「なんか凄くデカいチーズのパンだっちゃ。なんだっけぇ?海外の伝統料理らしい。船の形で中にチーズが大量に入ってるヤツ。チーズを大量に食べたい時の料理って検索したら出たんよ。レシピも載っていたし作ってしまえってなったん」
海外の伝統料理?
「どれ、見てくるぅ」
そう言って海はまた部屋を出ていく。
………………。
凄く気になる。
気になるなら見に行けばいい、ということで箸を置いて立ち上がる。
部屋から出て厨房に行くと海が業務用のオーブンから大きなパンを取り出しているところだった。
「んぁ?嬢ちゃん、どーしたん?」
「その料理が気になったから来た。とても大きいけど、これが通常なの?」
「いや、これは通常より大きいんよ。嬢ちゃん基準に合わせてなぁな。アホほど食うから、通常サイズだとすぐ無くなっちゃう。やっぱり、大きいのをドーンと作ったほうがええやろ」
嬢ちゃんというのは真理亜のことだろう。
食は全て真理亜基準に合わせているかも。
「とても真理亜が喜ぶはず」
「そうだろうなぁ。嬢ちゃんのために用意したからなぁ。これで満足するとは考えてないが、少しは発散になるかなぁってことで用意したんよ」
発散になる?
満足………………
「いろいろあるのは、これからのことで申し訳ないからってこと?」
「今は割と自由やろ?今後の流れで変わるかもしれんからなぁ」
食べ納めって、真理亜にあるのかしら?
食べたいものを好きなだけ食べるのが彼女だし。
テイクアウトよりお店に行って食べるの好きなんだよね。
「一緒にいる時間が前より長くなるから負担を軽くしたいってこともあるっちゃ。しょうがないって分かってるんけど、ストレスフリーなんて無理やろ?あの子、勘がええから」
確かにそうだけど。
早く解決するのが一番いいはずだ。
「嬢ちゃん、悪いんけどそこにある皿を運んでくれん?」
「分かった」
重ねられた皿を持って部屋に戻った。
大きなパンを真理亜の目の前に置くと彼女は「ハチャプリだ!」と言った。
どうやら、この料理のことを知っていたらしい。
重めな料理が多いが、真理亜はそんなこと全く気にすることなく食べ続けていた。
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