第601話

「ねぇ?話を聞いていいのか、悪いのか………………どんな状況?」



話に混ざれないのって嫌だよね。



「真理亜が裏の男に興味を持たれた。柚月の部下が情報を話してしまったみたい。大塚さんもだけど、真理亜も裏のことを知っている素質者だから。都合が色々といいでしょ?」



「それは、部下の人が悪いってことだよね?」



「うん。海はその件で交渉するために柚月の事務所に行ったの」



「へ〜ぇ。結果は?」



結果ねぇ………………


海の様子を見ればなんとなく察することはできるけど。



「海、状況は進んだの?進んでないの?」



「進んだような、進んでないようなぁ。壱夜の部下は馬鹿らしくてなぁ。表と関わるとアホになるらしいっちゃ。裏ならええのになぁ、もう表に出さないほうがええと思うんけど」



私が聞きたいのはそういうことではない。


柚月のところで、どんな交渉をしてどこまで解決したのかを聞きたい。



「そのアホはどうでもいいから。何かしてくれることになったの?」



「何かしてはくれん。壱夜ってそうだっちゃ。分かるん?情報は流してもらったけどなぁ」



「残念ね。海なら何かしら掴み取ってくると思ったのに。非常に残念」



「嬢ちゃんは俺を高く評価してくれてたん?今日は大雨になるかもしれん」



何を言っているんだか。



「そんなことはどうでもいい。真理亜が裏の男と接触しないように動いているんでしょ?それは、海も動いているわけ?」



「俺は、壱夜のところに行って、話を聞いて来いって言われただけぇ。そっちは、別の人が担当。というか、普通に考えてそうなるっちゃ。なんとなーく分かるん?」



蓮さんが行くとなると大揉めして帰って来るかもしれない。


それだけは阻止しなければならない。


お父さんがそれを知ったら激怒するだろう。



「壱夜が言ってたんけど、動けない理由はそれなりだから無理って。壱夜がそう言うならそうなんね」



「それなり、ねぇ?この車はどこに向かっているの?」



「よくぞ聞いてくれました!!!光さんのお店。全員集合!」



………………。


声を張り上げなくても聞こえるから。


全員ってことは真理亜も入っているのか?


光さんのお店に着くと、海が言った通りに全員集合していた。


小部屋にみんな入らなくてもいいと思うけど、なぜギュウギュウに入るんだ?



「海、お迎えありがとな。飲み物出してくれ」



光さんは小部屋から顔を出した。



「了解。希も手伝ってぇ」



「いいよ」



海は大塚さんを連れてキッチンへ、私は光さんの手招きで小部屋へ行く。


空いている席は真理亜の隣だ。



「凛ちゃん、お疲れ様!」



「うん。お疲れ様」



真理亜の目の前には大量のドーナツ。


また箱買いしたのね。



「全員が揃ったところで話をするが………………まず、愁を起こせ。寝るな!蓮!起こせ!あと、ミンエイ!隅っこにいるな!もっと寄れ!矢島、お前は………………カルテを広げて仕事をするなよ。それ、大事なものだろ?忙しいのは知っているが、カルテは持ち込むなよ」



会議というものは緊張感があるものだが、それがあまり感じられない。


孝文さんを見るとテストの採点をしていた。


みんな仕事をしているのだから、そっちが忙しいのだろう。



「愁、起きろ〜。光、激おこだぞぉ。ご飯抜きにするかもしれない。俺たちの分だけなしかもしれない。俺の分まで無くなるの嫌だから起きてくれよ」



蓮さんは愁さんを揺さぶる。


ゆっくり覚醒してきたのか、顔をあげて目を擦る。



「ご飯?ん〜」



ご飯で起きたのか。



「光から話があるから起きてくれ。真理亜ちゃんの話だぞ!ここでしっかりしないと担当から外されるぞ!おやつも抜きにされるかもしれない!俺は嫌だ!どっちも嫌だ!目をしっかり開けてくれ!」



「ん、分かった。起きる」



………………。


会話は緩い。


孝文さんはテスト用紙をしまい、矢島さんはカルテをしまった。


ミンエイさんは少し近寄ったくらい。


テーブルにあるドーナツはそのままでいいらしい。


というか、真理亜が黙々と食べているのは怒られないらしい。


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