第593話
真理亜が宣言した通り、15分後にはテーブルを埋め尽くしていた料理が3つになった。
その食べる速さに驚いているのは私だけじゃない。
店員さんが次の料理を持って行くためタイミングを見ていたらしい。
それで、どんどん減る光景を見て驚愕していた。
ファミレスで働いているなら、よく食べる人を見かけるだろう。
だが、こんなに食べる人は稀だろうな。
テーブルが空くと次の料理が運ばれてきた。
今度は私が頼んだものと雪が頼んだものだ。
「タブレット取って」
真理亜にそう言われた雪はタブレットを真理亜に渡す。
「次は何を頼もうかなぁ。魚も食べたいしぃ、肉ももう一回食べたいしぃ。前菜からまた始める?」
フルコースみたいな感じで注文するらしい。
前菜っていうか、シェアサイズだよね?
「人の奢りっていいよねぇ。財布の心配しないで、食べたい物を食べられるって。お金持ちの人と結婚したら、食に困ることはないと思う」
真理亜、自分がとんでもない発言をしていることに気づいているかな?
そんな言い方したら勘違いする人もいると思うけど。
ほら、雪の目がキラキラしてる。
………………。
「それを堂々と言える白井さんは凄いよね。普通は、言わないことだと思うけど」
「私なりの感謝を伝えているつもりです!」
「うん、ちょっと理解に苦しむよ。捻じ曲がった感情じゃない?」
「ハハッ、誰かさんよりマシだと思う」
「うわっ、言うようになったね。学園にいた頃と違って」
ふむ、この2人は相性が悪いらしい。
相性が良くても困るけど。
真理亜は、タブレットを雪に返すとドリンクバーに向かった。
「白井さんには限界ってないわけ?」
「私は真理亜の限界を知らない。というか、お腹が満腹になったという発言を聞いたことがない。雪はある?最近は、私より一緒にいるでしょ?」
満腹になる前に料理がなくなる。
たくさん作ってもすぐ亡くなってしまうのだ。
「ないよ。食べ放題に行っても時間までずっと食べてるし、出禁になっちゃうし。ちなみに、食べ放題じゃないお店も出禁になってるよ。最近、出禁のお店が増えたから、悲しい顔をよくするんだよね。それがちょっと可哀想で」
「食べ放題じゃないお店も出禁になってるの?」
「売り切れにさせる」
あぁ、なるほどね。
他のお客さんに提供できない状況になるのね。
売り上げにはなるけど、他のお客さんからクレームが入るかもしれない。
食べたいのにいつも料理がないのは、お客さんからしたら気分はよろしくないだろう。
「それはしょうがないことだと思う。他のお客さんのことを考えたら、お店側はその対応になるでしょうね」
でも、真理亜からしたら残念だろう。
食べることが好きだから尚更だ。
「普通に食べるなら出禁にはならないよね?ちょっと食べたら、次のお店に行くとかすればいいのでは?雪も、しっかり言わないと。あとで大変なことになるよ。出禁にならないようにアドバイスしたらいいじゃん。あとは、事前にお店に言うとかね。それなら出来るでしょ?いつもより大量に準備して下さいって。マネージャーの仕事はちゃんとやらなきゃ」
マネージャー?
雪はマネージャーになったの?
柚月は当たり前のように言ってるけど。
駄犬よりマシではある。
「その日に食べたい物があるらしいから。急遽、お店を変更する場合もあるんだよ。だから難しいの。先回り出来るならとっくにしてるから」
というか、本人次第でしょ?
出禁にされているなら気づいているでしょ?
何が原因なのか分かっているのにやめないのなら、食のほうが優先ということだ。
「お待たせいたしました。エビサラダとチキンサラダとコーンサラダになります」
店員さんが3皿のサラダを置く。
全て、真理亜が頼んだ物だ。
どうやら本当に前菜からやり直すらしい。
「雪は、今後のことは考えてないわけ?海はちゃっかり相手を見つけて囲ってるけど。雪もそろそろ考えているんじゃないの?白井さんってある意味魔性じゃない?」
今日の柚月は本当によく喋る。
そして、それをなぜここで話す?
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