第594話

雪は何かを考えているのかフォークで皿を突く。


ここで考えて答えは出来るのか?


本人がいないところで考えたほうがいいと思うけど、普通は本人がいるところで考えるものなのか?



「いち君が考えていることは、なんとなく分かるけどさ。今の真理亜は恋愛に興味がないから。何を言っても意味ないと思うよ。食と勉学に興味があるから」



「食が7割、勉学が2割、その他が1割って感じ?雪のほうが先に卒業するだろうし。卒業したらやる事多いでしょ?学生の間に片付けなきゃいけないことあると思うけどね」



そのアイドバイスはどうなんだろう?


簡単に言うと婚約くらいしておけってことでしょ?


これ、私は聞いてよかったのだろうか?



「ねぇ?この話は私は聞いてよかったの?2人だけで話すことじゃない?というか、本人がいるのに話すの?学生生活が終わっても、完全に関係が終わるわけじゃないから、このままでもいいでしょ」



真理亜が恋愛には興味がないと言ったのなら、そのままの意味なのだろう。



「椎名さんはのんびりさんだね。白井さんは、人気なんだよ。アイドルみたいな感じかな。よく見てると思ったのに、そうでもなかったかな」



………………。


何だか、腹立つ言い方だな。


というか、柚月はよく見ているわけ?



「ねぇ!ねぇ!ホットミルクのキャラメルソースを入れてみたの」



真理亜はトレーに4つの飲み物を乗せて戻ってきた。


自分がいない間にどんな会話をしていたのか気にしていないだろうなぁ。



「サラダ、来てたんだね。よし、メインが来る前に食べる」



真理亜はフォークを持つ。


さぁ!食べるぞ!というタイミングで、柚月は口を開いた。



「白井さんって、自分がどんな人に好かれているのか分かってる?」



「い、いち君!」



雪は慌てて止めようとしたが、間に合わなかった。


そう言われた真理亜はきょとんとした表情で柚月を見た。


そして、その表情のまま私を見た。


説明を求むということだろう。


なんて説明をしたらいいのだろうか………………


ここは簡潔に大事なところだけを引っこ抜いて………………



「柚月が雪に真理亜との関係を進めろと言っているらしい」



簡単に言ってみた。



「駄犬と関係?なぁぜ?」



真理亜はギロリと柚月を見る。


余計なこと言ったのか?という目だ。



「雪がダラダラと続けているから。雪だけならいいけど、他にもいるからね。大学を卒業したら会う回数だって減る」



「なるほどぉ………………で?それは柚月さんに関係するんですかねぇ?………………ないだろ。関係者って言いたいの?いや、関係者じゃないだろ。なぜ、関係を進めろと?な〜んでしょうねぇ」



………………。


私は、確かに、と思った。


柚月はニコッと笑顔で真理亜を見ているだけで、そのあとは何も話さない。


図星なのか、他に理由があるのか………………


自分から突っ込んだ話をしたってことは何かありそうだけど。


ありそうなのに話さない。



「柚月、あなた何かあったの?他人の恋愛なんて興味ないでしょ?」



「ないよ」



「………………」



なぜ、そこは即答なんだ。


他人の恋愛に興味がないのに、雪に関係を進めろと言ったんだ?


友達だから別?


………………。


この人、友達だからって恋愛のアドバイスをするタイプか?


失礼ではあるが、そんな友達思いではないな。



「あなたが、そんなに友達のことを心配しているなんて、これから槍が降るかもしれない」



「ちゃんと分けて話しているよ。これは言わなくてもいい、これは言ったほうがいい。今は、言ったほうがいいってことだね。椎名さんの友達だから、何か起こってからじゃ、椎名さんがブチ切れそうだし。で、椎名さんの周りにいる人も動いたら嫌だなって思った」



その言い方だと、これから真理亜に何か起こるってことになるけど。


ハッキリ言ってほしい。


つまり………………



「つまり、裏関連って言いたいわけ?」



「まぁ、裏ではある。俺の所為にされたら嫌だし。椎名さんに詰め寄られたら嫌だなぁって」



「で?何?」



「あ〜、奏多がちょっと………………話したっていうか。白井さんのことを少しだけ話したら、調べたらしくて。で、見に行ったらしい。で、惚れたらしい」



コイツ、何を言っているんだ?


私の思考は上手に動いてくれなかった。

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