第592話

この前もファミレスで会ったのに、今日も一緒にファミレスか。


奢るからって何か要求されても困る。


叶えられないというか、面倒ごとが多いから嫌だ。



「えっとねぇ、最初はステーキから食べたいなぁ。400gのステーキ!それからピザも食べたい!あとねぇ、チキンサラダ」



真理亜は、慣れた手つきでタブレットを操作して次々と注文をする。


真理亜が頼んだのは自分が食べる分だけだ。



「はい、凛ちゃん!」



「ありがとう」



夜ご飯は一応食べたから………………


食べたはずだが、麺類を見てしまう。


メニューを見ると小腹が空くなぁ。


ドリンクバーは頼むとして、たらこパスタもいいなぁ。


ほうれん草とキノコのパスタもいい。


だが、レギュラーサイズを食べられるだろうか?


小盛りのパスタにしようかな。


注文を済ますと雪にタブレットを渡す。



「いち君は何か頼む?それか、いつも通りドリンクバーだけにする?」



「ドリンクバーだけでいいよ」



「了解!ファミレスって色々あるから迷っちゃうよねぇ」



雪はそう言いながら迷うことなくタッチしている。



「よし!飲み物を取りに行こう!」



真理亜は立ち上がりドリンクバーに向かう。


私もその後に続いた。


ファミレスの良いところは豊富なメニューだけではない。


ドリンクバーの多さだ。



「う〜ん。最初は何を飲もうかなぁ。やっぱり、お茶系?炭酸系は食後の後に飲みたい」



真理亜はジュースサーバーの前で悩んでいる。



「ホットにはしないの?冷たいお茶?」



「ホットは最後にするの」



飲む順番があるのね。


私はコップを手に取り野菜ジュースを注ぐ。



「先に戻ってるよ」



「は〜い」



席に戻ると雪だけがいて、柚月の姿はない。


ドリンクバーのところにはいなかったから、どこか別の場所にいるのだろう。



「飲み物、持ってきたら?真理亜は、まだ悩んでいるから」



「うん。行ってくるね」



雪は立ち上がりドリンクバーに向かった。


1人になり、ちびちびと野菜ジュースを飲んでいると飲み物を持っている柚月が戻ってきた。



「あなたが先に戻って来るとは思わなかった」



「あぁ、そうだね。2人はサーバーの前で悩んでた」



「そう」



「ずっと立ち仕事だったから疲れたでしょ?」



「光さんのお店と変わらない」



「そっか。さっき、電話が来て感謝してたよ」



「お給料貰ったから感謝しなくても良いのに」



「そういうことじゃないと思うけどね。あれだけのお客さんを対応するのは大変だって知ってるからでしょ?一気にお店に来たからねぇ」



確かにそうだ。



「迎えは呼んだの?」



「うん。仕事が落ち着いたら迎えに来るって」



「あなたの部下は本当に連れて行かれたの?」



「あ〜、まぁ、そうだね。一般人相手に腕を捻ったりできないからね。背中をドンッと押されてそのまま車の中に乗せられたんだよ。酔っ払い相手の接客は大変だね。何を言っても、いいからって言って強引に進めるから困っちゃうよ」



それは拉致ではないか?


あの人、表側にいると鈍くなるのかな?


そんな簡単に背中を押されて車に乗せられてしまうなんて。


柚月のことを守る役目があるのに、離れてしまっては意味がない。



「君たち3人も送ってあげるよ」



「それは結構」



「なんで素直にありがとうって言えないのかな?家の人に頼むの?遅い時間に呼ぶのは申し訳ないでしょ?」



「………………それは確かにあるけど、そういうことではない。光さんが迎えに来てくれる」



「………………母親じゃないんだね」



だって、光さんが来るって言ってたから。


断る雰囲気じゃなかったんだよ。



「兎に角、光さんが来るからいい」



「分かったよ。雪だけ送ってあげるか」



「雪とは順調なのね。たまには会って遊んでいるの?」



「遊ぶ………………椎名さんが考えているような遊びじゃないけど会っているよ」



雪と柚月の組み合わせって意外なんだよね。


性格も育ちも違うのに、よく気が合うな。


いや、同じ性格だったら反発するものか?



「お待たせ!」



真理亜はトレーに5つのコップを乗せて戻ってきた。


何回も行くのが面倒だから大量に持ってきたのね。


雪は2つのコップを持って椅子に座る。


真理亜と雪が戻って来たタイミングでサラダが届くと、真理亜は無言で食べ出す。


本当にお腹が空いていたのね。


頼んだ料理が次々届くのは良いけど………………


これ全部テーブルの乗るのか?



「白井さん、頼み過ぎるよ。最初からアレコレ頼まないで」



柚月はたくさんの料理を見て引き気味だ。



「大丈夫、すぐ減るから」



真理亜は自信満々にそう言った。

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