第586話
チーズケーキを頬張る真理亜は満面な笑顔だ。
「甘い物は正義だね。疲れが吹っ飛ぶよ」
今食べているチーズケーキは9個目だ。
柚月と雪の分なのだが………………
柚月はペットボトルのお茶だけだ。
この休憩時間に何か食べておかないと、その後は食べる時間がない。
つまり夕ご飯は今のうちに食べる必要がある。
「柚月、そのお茶だけ?夕飯は何も食べないの?」
「ここに来る前に食べたから必要ないかな」
そう言っているが、たぶん私が思っている食事ではない。
栄養補助的なアレだろう。
それは食事と言えない。
足りない栄養を補うものだ。
「次はコレかな!」
チーズケーキを食べ終えたら、今度は持ってきたフランスパンを食べ出した。
そのフランスパンは丸々1本なのね。
「真理亜、そのフランスパンだけ?」
「違うよ」
真理亜は自分のバッグをテーブルの上に乗せて、食べ物をどんどん出していく。
まかないでチーズケーキ以外にも食べられるけど、それだけでは足りないのだ。
「白井さんは相変わらずの食欲だね。雪は太った?」
確かに雪は前と比べると太ったように見える。
真理亜に付き合ってお店に行っているからだろうか?
「ウッ、言わないでよぉ。気にしてるのに」
「あっ、ごめん。でも、久々に運動したら?実家にあるじゃん。色々」
「確かにあるけど、筋トレは好きじゃない」
どうやら、雪の実家には筋トレができるマシンなどがあるらしい。
「駄犬はねぇ、最近ダイエットを始めて食事制限中なんだよ。そんな彼の目の前で食べているスイーツは格別に美味しい!」
「真理亜、ちょっとそれは可哀想よ」
「でも、駄犬がコレ食べてって言うからさ。ホールケーキがバカ美味い」
「ホールケーキ食べたの?」
「うん。いちごの」
「そう」
「ちなみに、チョコも食べた。ホールで」
雪の場合は、食べている真理亜を見ているだけで満足するのかもしれない。
私は凄く食べたくなるけど。
真理亜って本当に美味しそうに食べるのよね。
最後までそのままだから………………
「ダイエットって大変なんだねぇ。食べたいのに食べられないなんて可哀想だなって。ずっと野菜食べてたよ。野菜も美味しいけど同じメニューを毎日食べてたら飽きない?」
目の前でホールケーキを食べているのを見ながら野菜を食べているの?
なんだか凄い差を感じる。
「あ〜、疲れたぁ………………あれ?俺のチーズケーキは?えっ?ちょっと待って。えっ?」
作業を終えた奏多がバックヤードに来た。
どうやら、チーズケーキを食べるために来たらしいがここにはない。
「お前の分は白井さんが食べたよ」
柚月がそう言うと奏多は目を大きく見開いた。
「えっ?マジで?夕飯なし!?」
「大丈夫。これあげるから」
柚月がテーブルの上に置いたのはプロテインバー2本だ。
「そ、そんな………………悲しいっす。しかも、2本だけぇ」
そう言いながら奏多はプロテインバー2本を手に取る。
ちゃんとそこは貰うのねぇ。
というか、真理亜っていつの間に奏多の分まで食べたの?
「チーズケーキ美味しかった!!」
真理亜はニコニコ笑顔で宣言した。
「そうだろうね!君のその表情で分かるよ!凄く満足してるからね!でも、俺に確認して欲しかったな!!」
プロテインバーを握りしめて言ってるけど、それボロボロにならない?
真理亜はフランスパンを食べ終えると、ピザパンを食べ出した。
「本当によく食べるねぇ。小さい体のどこに入っているのか………………大食い大会とかに出たら賞金貰えるんじゃないかな?」
そう言って奏多は近くの椅子に座った。
「無理!そういうものは、食べる速さも必要だから。私は時間を気にしないでたくさん食べる!ちゃんと美味しさを感じたい!」
4口ほどでピザを食べ終えたのだが………………
まぁ、そこは突っ込まないでおこうか。
「壱夜さんは、お茶だけですか?もっと栄養があるものを飲んで下さいよ。倒れちゃったらどうするんですか?クソ忙しいのに」
奏多も柚月の健康を気にするのね。
でも、栄養があるものを飲めって言ってもねぇ。
普通に食べ物にしてよ。
休憩時間が終わると、全員で客席側に入る。
今の時間はお客さんがいないため、最後の確認ができるのだ。
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