第573話
奏多は表の人と付き合いたいと真剣に考えているのだろうか?
軽い気持ちで行ったのだろうか?
それは相手側に失礼では?
婚活って、結婚したいから行くんだよね?
興味本位で行くべきではない。
真剣に考えている人たちに悪いだろう。
「サイド頼もうと思っているんだけど、椎名さんも何か頼む?」
「唐揚げ、ポテト」
「了解!デザートは後にする?」
「あっ、頼もうかな。パフェがいいかな」
「チョコとイチゴと抹茶があるけど」
「抹茶パフェがいい」
「分かった」
大塚さんは、タッチパネルで追加注文をする。
私が言った料理以外も頼んだみたいだ。
「やっぱ、裏が表と付き合うのは難しいね。海さんは凄いですよ」
「お前に褒められても嬉しくない」
「壱夜さんって、めちゃくちゃ人使いが荒いじゃないですか?自由な時間がマジでなくて困ります」
「………………お前はアホやなぁ。甘くて馬鹿でどうしようもないわぁ」
「海さんの凄さが分かりました。どうやって自分の時間を作ってました?」
「そんなんない。というか、今のお前はどうなん?自由な時間じゃないんか?」
確かに海の言う通りだ。
ここにいる奏多は一体なんだ?
休みだからここにいるのでは?
この人、海より良い暮らしをしていると思うけど。
「丸一日の休みが欲しいです」
「そんなん無理じゃ!壱夜の部下なら毎日働け。で?壱夜の部下であるお前さんは、今の現状を報告したん?」
「ハハッ。なんのことか分かりません」
「来るん?」
なんだろう。
話の流れが変わってきたぞ。
これはいい流れではない。
「お待たせいたしました。たらこクリームパスタとほうれん草ベーコン海老アボガド野菜のハーフサラダになります」
私たちが頼んでいない料理が運ばれてきたということは奏多が注文した料理だろう。
「いただきます!」
裏の人なのに普通に食べるんだ?
海は乱れた食生活だったけど………………
いや、人のこと言えない。
私もお父さんに会う前は乱れた食生活だったから。
「誤魔化したいのかもしれんけど、意味ないっちゃよ?はよー吐けよぉ。じゃないと、本人にでーでするっちゃ」
「でーで?でーで………あぁ、電話か!」
奏多は、海の難解な方言?を解読できたのが嬉しいらしい。
たまに、何を言っているのか分からないときがある。
大塚さんは理解しているのだろうか?
それか、大塚さんには配慮しているのだろうか?
で?
さっきから何を話して………………
いや、待て。
この男、もしかして柚月に報告した?
ここに私たちがいること連絡した?
………………。
会うことがあれば報告しろって言われているのか、自分で判断して報告したのか分からないけど、余計なことをしたものだ。
「海、終わりなのね。この男と会った瞬間で、その後の流れは確定されてしまっている」
「嬢ちゃん、諦めモードやめてくれっちゃ。こっちは詰めている最中なん!分かるん?ここは諦めないで、追求して吐かせるべきなんよ」
追求して吐かせても状況は変わらないのでは?
その後は何をさせるつもりだったの?
裏みたいなことをさせるつもりだったの?
「この男、吐くかしら?柚月に鍛えられているから無理じゃない?」
「嬢ちゃんは、忘れちゃったん?一方的にやられそうな場合は、取引を持ちかける」
「へ〜ぇ」
「興味ないって返事しなーで。心が傷付くから。もっと興味持ってーな」
「は〜ぁ、追加注文が届いたらサッサと食べて帰りましょう」
私がそう言うと奏多が食べるのを止めて私を見た。
その顔は「マジで?」と言いたい顔だった。
だって、ここに来るかもしれないってことでしょ?
この前会ったばかりだし………………
私は至って普通だ。
あっちは知らないけど。
「ちょっと待って!あと50分!いや、30分待ってくれないかな!?」
「なぜ?」
「えっと、あ〜、ん〜」
急に馬鹿になる。
私がジーッと奏多の目を見続けると、逸らされた。
「よし、お父さんを呼びましょう」
「ワーッ!それだけはやめて!俺の胃が穴だらけになる!分かったから!………………壱夜さんが来るから待っててほしい」
よし、吐かせたぞ。
満足気味で海を見ると、なぜか引いた顔をしていた。
なぜ?
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