第572話
奏多はタッチパネルを手に取り何かを注文している。
自分の席では注文していなかったのだろうか?
「あんなぁ?見つけたからってこっちに来るのはどうかと思うんよ。お前、馴れ馴れしいっちゃ。壱夜からも注意されているんやろ?」
「俺の良いところは行動力なので。積極的に関わります」
「早死にしたいならええわぁ」
「早死にしたくないので、人間関係を頑張っているんです」
「ハハッ、アホな男」
喜一がいなくなったので、裏も状況が変わったのだ。
ある程度の人付き合いは必要だとは思う。
でも、この人はちょっと違う。
「人間関係を頑張っているのに、揉めているのはどうかと思う」
私がボソッと言うと、それをしっかり聞いていた奏多がこちらを見た。
「う〜ん、嫌なところを突っつくね。確かに揉めた。でもさ?あっちも悪いし。俺が全部悪いってわけじゃないからね。仕事で行けないこともあるってちゃんと言った。なのに、なんで来れないの?って言うし。マジで分からん」
いや、知らないから。
説明が下手だったんでしょ?
相手が裏なのか表なのか知らないけど………………
「お待たせいたしました。カルボナーラのお客様」
店員さんは注文した料理をテーブルに置いていく。
「追加注文分はもうしばらくお待ちください」
店員さんは大きなトレーを持って立ち去った。
「いただきます!」
大塚さんは手を合わせてから食べ出す。
「君たち、スーツ姿はなぜ?」
「嬢ちゃんたちは就活なん」
「あぁ、そんな時期だったか。短期大学だっけ?あっという間だ」
4年大学より2年短大は確かにすぐだ。
社会人になる準備も急ぐことになる。
「料理が届いたら、はよー食べてさっさと帰れ」
「話し聞いてくれてもいいと思いますけど。仕事を頼んでいるわけじゃないし、そっち系に巻き込んでいるわけじゃないし。実は、知り合いの知り合いから婚活に一緒に行ってほしいって言われて、一緒に行ったんですよ」
話せと言っていないのに、勝手に話しを始めたんだけど。
しかも、婚活に行ったんだ?
裏の人なのに………………
いや、でも裏専門の婚活かもしれない。
「裏に婚活?」
「嬢ちゃん、裏に婚活はないよぉ。嬢ちゃんだって、聞いたことないやろ?」
私が抜けてから婚活システムが設立されたのかと思ったけど。
「そうそう。表の婚活ね。知り合いの知り合いは裏の男なんだけどさ」
「その知り合いの知り合いはなん?なんで婚活?なん?」
「そこは気にしないでくださーい。で!その婚活でマッチングしてさ」
マッチングしたことに驚いた。
嘘だらけでもマッチング出来るんだ。
でも、その後はグダグダになるんだろうなぁ。
「マッチングしちゃったら連絡を取り合わなきゃ失礼でしょ?連絡して何度か会ってご飯食べて。俺の仕事の詳細を教えるわけにはいかないから、管理職って話しをしてさ。仕事が忙しい時は連絡が取れなくなるって説明もした。約束をしてもその日に仕事が入ったら仕事を優先するって話しもした」
あぁ、なんとなく分かった。
「それって、何度も約束をドタキャンして、何度も連絡したのに繋がらなくて、不満が爆発したってことで合ってます?仕事ってそんなに忙しい?って思いますよねぇ。何も知らないなら尚更。相談も何も相性が悪い!」
大塚さんは食べることに集中しているから全く聞いてないなのかと思ったら、ちゃんと聞いていたらしい。
「相性が悪いって酷くない?もうどうすることも出来ないじゃん。こっちはちゃんと言ってるのに駄目なの?」
「ちゃんと言ってるからって、全てが許されるわけじゃないですよ。付き合っているはずなのに、素っ気ないとか最悪だと思います。本当に付き合っているの?って考えます」
「え〜、会った時はしっかり相手するのに。素っ気ないとか言われてもなぁ。これ以上、何をしろって?」
「何かをしろってことじゃないと思います。考え方が違うんですから。そこからじゃないですか?」
なんだろうか。
海と付き合っているからなのか納得できるというか………………
考え方をどうにかするのって大変だよねぇ。
しかも、相手は表だ。
裏同士だったら一致したのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます