第567話

午前の授業も順調に終わり、お昼の時間になった。


今日はお弁当ではなく学食だ。


本日のおススメはエビフライ定食らしい。


美味しそうだからエビフライでもいいかな。


食券を買って配膳の列に並ぶ。


出来立てのエビフライ定食を持って空いている席に座った。


さて、大塚さんは無事に終わったのだろうか?


または、必死でやっているのだろうか?


お昼の時間が無くなってしまう。


スマホの画面をタップして、大塚さんにメッセージを送ると泣いているスタンプが送られてきた。


どうやらまだ終わってないらしい。


まさか、大塚さんが課題をやってなかったとはね………………


午後に間に合うのだろうか?


真っ白の用紙を文字や写真で埋めるためには参考書を見ながらやるしかないけど、昼休みの時間だけで完成するには少々無理がある。


なぜ忘れたの?と聞いたら、色々あって忘れていた、と言っていた。


色々とはなんだろうか?


お昼を食べずに午後の授業をやるのは辛いのではないだろうか。


サンドイッチみたいな手軽な物を買ってあげたほうがいいかな?


売店に売っていたっけ………………


エビフライ美味しい。


外はサクサクで中はプリプリ。


揚げ物でエビフライは特別感あるよね。


お昼ご飯を食べたあとは売店へと向かった。


何か残ってないだろうか?


サンドイッチは………………ないね。


やはりお昼でみんな買っちゃうよね。


余っているのは3枚入りの食パンだった。


その隣には使い切りタイプのジャムとマーガリンがある。


よし、この組み合わせを買っていこう。


飲み物はパックの豆乳かな。


両手で抱えながら教室に行くと、必死な表情で課題をやっている大塚さんの姿があった。



「お疲れ様。これ食べて」



「わぁ………………ありがとう。お腹空いて頭に糖分が回らなくてさ。助かるよ」



ふむ、その様子では完成には遠いかもしれない。


今回の課題は1枚2枚の用紙で終わるようなものではない。


私も仕上げるのに時間を掛けてしまった。


大塚さんは買ってきた食パンを手に取りジャムとマーガリンを掛けて食べ始める。


片手で食べられる物で正解だったな。



「学食で何食べたの?」



「エビフライ定食。明日は唐揚げ定食らしいよ」



「えっ?唐揚げ?なら、明日は学食に行こうよ!唐揚げ定食は人気だよ。一番はハンバーグ定食だけど」



「分かった」



なら、明日もお弁当いらないって言っておかないと。



「あとどのくらいで終わるの?」



「え〜と、6枚?」



「………………」



お昼休みはあと30分で終わりなのに6枚もあるの?


それはちょっと無理があるのでは?


お昼の時間が終わり、課題の提出する時間になった。


後ろの人が用紙を回収して先生に渡す。


チラッと大塚さんを見たところ目が死んでいた。


やはり間に合わなかったみたい。


午後の授業が終わり帰宅の時間になった頃合いで大塚さんにさっきの出来栄えを聞いてみた。


そしたら「フフッ」と笑った。


ボロボロだったみたいだな。


でも、白紙で出さなかっただけマシか?



「今日はサークルに行くの?それとも帰る?」



「う〜ん、糖分摂取がしたい。ドーナツ食べに行かない?バスの時間大丈夫?」



「ドーナツ?いいよ」



駅の近くにあるドーナツ屋に行く。


学生がいっぱいだったが空いている席を見つけて先に荷物を置いた。


そして陳列棚がある列に並び食べたいドーナツをトレーに乗せる。


食べたいドーナツがたくさんあると幾つも選んでしまうけど、食べられなかったら持ち帰りをすればいいかな。


6つも選んで食べるのは3つだ。


家にケーキがあるけど、アレはアレでコレはコレだ。


飲み物はブラックコーヒーにした。


席に戻って一口コーヒーを飲んでから生クリームが入ったドーナツを食べる。



「はぁ、なんかさぁ。みんな、就職の話ばかりだよねぇ。採用者もチラホラいるらしいよ」



ドーナツが食べたいと言った大塚さんのトレーには担々麺とドーナツがある。


お昼が食パンだったから足りなかったのかもしれない。


いい香りがするなぁ。



「大塚さんは、いろんなパティシェや料理家の人の見た?」



「あぁ、あの評価表?読んだ、読んだ。1位ではあったけど、やっぱり評価はそれなりだったよ。3枚くらい紹介状みたいなものあったけど」



おや?


3枚もあったんだ?

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