第545話
私が考えたことをそのままお父さんに話したら爆笑していた。
どこが一番ツボに入ったのか分からないけど、冷蔵庫に入っているプリンの謎が解けたらしい。
プリンを作っているから勉強のためにプリンを食べているのだろう、って。
実際はただ食べたかっただけだ。
『なるほどねぇ。ご飯食べている時もプリンのことで頭がいっぱいだったときがあったでしょ?限界かなぁって思ったんだけど、そっかそっか。凛も一度リセットしちゃったか。俺もよくあるよ。試作品作りすぎて分からなくなるの。んで、無意識にカレー作り始めちゃうとかね。その時のカレーっていつもより美味しいんだよ』
お父さんは別の料理を作り始めるらしい。
カレーとか豚汁とか煮込み系らしい。
コトコト煮込んでその鍋をジーと無で見ているとか。
「何も考えないで安売りのプリンを食べたの?」
「そう。あら、安いから買ってみようって。そんなノリで買ってみたの。何も考えないでそのプリント食べたら素直に美味しいって思えた。プリンを食べるときってアレコレ考えることある?」
「ないね。スイーツだけじゃなくてご飯も食べる時は難しいこと考えないよね」
「集中しすぎるのも悪い。で、これができた」
使い捨てスプーンを柚月に渡す。
「ありがとう」
柚月が審査するわけじゃないけど、なんか変な緊張感あるな。
ダメ出しされたらどうしようかな。
お父さんにはOKもらったけど。
「大塚さんと海もどうぞ。食べられる………………よね?」
その状態でもプリンは食べられるはずだ。
2人にもスプーンとプリンを渡す。
「これ、確かに普通だけどバランスがいいね。甘みもカラメルの苦味もプリンの柔らかさも」
今回は分量をたくさん修正した。
カラメルの量も調整済みだ。
多いと苦味が強いし、少ないとバランスが崩れるし。
何事もバランスって大事だよね。
「今回作ってみて良かったよ。プリンを作るためにこんなに分量を調整したのは初めて」
「そっか。椎名さんは基本で攻めるんだね」
「そうなる」
派手さがなく本来のプリンそのままだ。
相手はそれなりのものを作ってくるだろう。
私が作ったプリンは見た目の評価は低くなるかもしれない。
でも、お父さんは『凛が考えているより評価は高いと思うよ。これ、挑戦したなって思うはずだから。審査をする人たちはきっとそう思うはず。経験が少ない人が最初から派手さを狙っても基本が分かってないと難しいんだよね。日向みたいな人だったら別だけど』と言っていた。
「美味しい………………椎名さん、これ凄く美味しいよ」
大塚さんはニコニコと笑顔でそう言ってくれたが、その状態で本当に食べたのね。
というか、酷くなっている。
自分で食べるんじゃなくて海が食べさせているなんて。
もう諦めてしまったのね。
「持ってきたぞ」
大塚さんが作ったシュークリームを光さんが持ってきてくれた。
そして、各々の目の前に置いてくれた。
試作品のシュークリームは何度か写真で見たことあるが、完成したシュークリームを見たのは初めてだ。
「表面の皮はサクッ中はトロッ、にしました。食べるときはゆっくり噛むといいですよ」
表面の色が違うのは食感が違うってことか。
「凛が作ったプリンはこれか?海の分か………………くれ」
光さんは海のプリンを手に取り食べ始める。
「俺のプリン!あとで食べようと思っとったん!あげるなんて言ってないっちゃッ!!」
「おっ!これ、美味いじゃん!なんつー恐ろしいもん作るのかと思ったら、ちゃんとしたプリンだ。迷子は終わったんだな」
「俺のプリンが食われたん。嬢ちゃん、食われたん!なぁ!」
そうね。
早く食べないから光さんに食べられちゃうのよ。
海のことはほっといて、大塚さんのシュークリームを優先しよう。
大塚さんが言っていた通りにゆっくり噛むと、外はカリッと中はトロッとした食感を感じた。
カスタードは少し軽め味だが、生クリームがある分甘さはちょうどいい。
うん、美味しい。
作者より読者の皆様へ
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